20071009

芸術の秋のはずでした

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すわ 予定表の漏洩疑惑。
大袈裟ですが ちょと参りました。

まずは めでたく退職出来ました。 わぁい!
これからは恋人のあんなことこんなことをさせて頂こうと
俄然断然張り切っていたのですが
その恋人からなんだか妙に行動を監視・制限されている様な
そんな気がしています。
特に 私一人で行く音楽や演劇の鑑賞を
ことごとく無しにされている様な気がしてならないのです。
それも 恋人にナイショで予約したコンサートも
事前に半年前から伝えてあるリサイタルもコンサートもイベントも
特にオペラは尽く 全て行かせまいとなさっている様な。

恋人は非常に勘が鋭いので ひょっとすると
会場での災害を予知なさって(ええ 好きなだけ笑って下さい)
私に行くのを止めさせようとなさっているのか
などとも考えて見たのですが
今のところいずこも燃えも崩れもネズミが逃げもしていない様子です。
もしやきもちを妬いて下さっているのなら心配無いのに。
オペラの登場人物なんかよりも貴方の方が100億倍素敵ですよ。

待ちに待った日に限って その当日に予定を突然割り込ませる恋人。
貴方に言われて 私が他の予定に行けるわけが無いじゃないですか。
なぜですか。 どうしてですか。 どうなさりたいのですか。

お蔭様で念願のコンサートを諦めては
後輩・先輩にそのチケットをプレゼントする羽目になるので
その度に大変喜んで頂いていて何よりです。
昼食を頂きながら先輩後輩にコンサート模様を
あれこれ教えて頂くのは嬉しいし楽しいけれども
恋人との時間が一番だけれども
やはり やはり 行きたかった。

恋人と一緒に音楽会に行くのは 例え同席出来なくとも一番嬉しいのですが
耳が我侭な恋人は演奏が少しでも気に入らなかったり
うるさかったり変なニオイだったり話し掛けられて煩わしかったりなど
ある点を超えると最後まで居られず 帰ってしまうのです。
(楽しむ為に行ったところで 思わぬ我慢を強いられて数時間過ごすのは
どうにも勘弁ならんという気持ちはとても良く判ります。
満席の筈の名演でポッカリ空いてる所があるのは
良いものではないでしょうにと本当に申し訳なく思うばかりなのですが
これは恋人の自己防衛本能の一つだと思います。どうか堪忍して下さい。)

だから 寂しくても良い席でなくても良いから
一人で選んだ音楽会に一人で出掛けて最後まで鑑賞してみたかったのです。
恋人は口では一人で行ってこいと仰るけれども
本心は私一人では行って欲しくなかったのかもしれません。
私の思慮が足りなかったんですね。


結局 今年購入・予約した20枚近いチケットのうち 実際に私が行けたのは
歌舞伎2回と コントラバス奏者河原さんのリサイタル
そしてエディタ・グルベローヴァさんのコンサート
その4つだけでした。

歌舞伎は過去数回しか見たことが無く 詳しい内容も良く判らないのですが
昔拝見した中村吉右衛門さんのシリアスで辛いお話の彼の演技は
凄まじく 物凄くて ただただ圧倒されて
気がついたら私はファンになっておりました。
今だにその役はどうしても 吉右衛門さんのがいいです。
誰かに向けての 『なぜなんだ』。 自分に向けての 『どうしてなんだ』。
その意味が本当の意味で判るのは自分自身でしかなくて当たり前なのですが
音楽や外国語の歌と同じ様に 声の震えは 空気を震わせ 胸を震わせました。
心の底の一切を引きずり出されるような 上手く言えないのですが
深いカタルシスを与えて下さるので大好きです。
六月歌舞伎の松貫四さん(※吉右衛門さんのペンネームで
狂言師でいらしたご先祖様の御名前だそうです)
のあちらこちらに点在するユーモアにおなかを委ねたひとときも幸せでした。
(トンビを投げちゃったり 目付きがイチイチおっかしかったりで笑い通しでした。)

忘れられないコンサートといえば 素敵な素敵なグルベローヴァさん。
生まれて初めて付き合いでは無く
自発的にスタンディングオベイションをした夜でした。
歌の素晴らしさもさることながら
あのユーモアとウィットのある魅力的なお人柄が伺える
本当に素晴らしいコンサートでした。
シュワルツコップさんにお熱を上げていたという祖父に
どうしても聴かせてあげたかったです。

グルベローヴァさんといえば。
先日NHKの番組にとても素敵な女性が出ていらして
上品で見事な白髪と嬉しそうな美しい笑顔に見とれていたら
彼女は100歳の現役のソプラノ歌手・教育者でいらっしゃるとのこと。
いいないいな- と紅茶を飲みながら熱心に見入っていたところ
彼女が声楽家仲間と女同士で会話と美食を楽しむ食事会を結成なさって
その会の名前がふるっていらっしゃる。
 
『グルメ老婆の会』

噴き出した紅茶を掃除する間もひとりで笑ってしまいました。


あぁ それにしても。
大植英次たんの大阪フィル聴きに行きたかったな。
ネマニャ・ラドゥロヴィッチさんを観に聴きに行きたかったな。
仲代郁代さんの柔らかく優しい優しいピアノにうっとりしに行きたかったな。
そしてそして ドン・ジョヴァンニもトリスタンとイゾルデ。
本当に 本当に 行きたかったな。。

今年はあと5枚のチケットが待っています。
これ全部 また恋人に強引に予定変更されたら
今度こそ私はグレてしまいそうです。

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