20070803

年月は百代の過客にして


.
先日 既に退官なさった恩師へ夏のご挨拶に伺い
その後 加賀へデート 食事に行って参りました。
(これってデートですよね!?とはしゃいでいたら
【年寄りをからかうんじゃない】と笑われてしまいました。)

ご挨拶とは名ばかりで ここぞとばかりに
愚にもつかない質問疑問を浴びせる私に
君は相変わらずだな と笑いながら
師はうつむき加減に仰いました。
君の疑問も矛盾も悩みも それが全部解かったら
この世から学問は無くなるよ と。


人は何をする為に生まれるのか
どうして死ぬ人生きる人が分かれるのか。
こんなにも素晴らしいダイナミズムを備えた人体なのに
なぜ疾病に苦しみ 苦痛は無くならないのか。
肉体を心で支配しきれる日は来ないのか。
益々判らなくなる根本的な疑問に 行き当たって止まっています。

そんな事は無視して 今しなくてはならない事をこなし続ける。
気がつくと 疑問は何一つ明かされないまま
一生が終わりに近づいていることに気付く。
そして これが人の人生なのだろう と悟りめいた諦めがやって来て
ぽつり 苦笑い。
そんなものなのだそうです。


無言になった私達。
折り良く 襖の外から心地良い声がかかり
美しい女将さんがお話に来て下さいました。
ここは松尾芭蕉が訪れた部屋だったそうです。

【 年月は百代の過客にして 行かふ年も又旅人也 】

みなどこからか来て どこかへと去る。
その当たり前の営みの中 自分が何をすべきか探り 見出せる人は極々僅か。
幸運にも見出せた時に それを為せる様に
人は一生を準備し続けるのかもしれません。

.