自己の在処
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昔留学中に恩師が観せて下さった
"Quantum Leap" というドラマが大好きでした。
主人公の量子物理学者が実験中の事故を機に
なぜか時間・空間・人物移動を命じ続けられ
とんでもない事態に陥っている人に成り代わって
危機や困難を切り抜けながら
あらゆる立場・状況・性別・人種・人格・職業の人生を経験して歩く
という内容でした。
主人公は天才物理学者ではあるものの それ以外の人生はもちろん未経験。
なのに リープをする都度 全く初めての人生を突然歩まされます。
自分はあくまでも自分自身のままなのに
周囲は自分に対して 全く違う誰かとして接するのです。
時に 荒くれ男に抱きすくめられて"自分は魅力的な女なのだ"と気付き
時に 周囲から恭しく扱われて"自分はどうやら偉い人らしい"と察します。
もうやだー自分自身に戻してーとぼやきつつ
周囲の態度や自分の状況を鑑み
自分に課されているであろう"何か"を探り
それを片付けて行きました。
そしてまた 他の誰かの人生へリープ。
恩師は 見せて下さるそのビデオのオープニングタイトルが出る度に
"これってLeapsが正しいと思わないか?"
と仰っていたのを 当時の私はあまり意味のある事だとは思わなかったのだけれども
帰国後にやっと 恩師の示唆する処に気付きました。
私はある日 人生が始まりました。
今までとは違う役割を頂き 務めることを始めました。
その日以来ずっと 未だに自分の人生は借り物なのではないか と
不思議な感覚を持って朝目覚め 人生のひとかけである1日を過ごしています。
私が違う誰かとして何かを為しても それらが私の人生である事は変わりない。
今日も 私は私の人生をしていますか と問いながら。
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